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木質構造 [構造計算]

建築士法第22条に基づく
建築士のための講習会テキスト
2008年版に大橋好光武蔵工業大学教授が
「3.木質構造」を執筆している。
その中に「7伝統構法の耐震性」がある。
「伝統構法が注目されている。」 へーそうなのか!
忘れ去られそうとしている訳では無いのだ。

注目されている理由について3点挙げている。
「第1は研究上の位置づけで未解明な部分が多い伝統木造がその対象になってきた」
要は在来木軸工法は解明が進んで、残った伝統構法に焦点が移ったということか?
在来木軸もまだまだ不明点が多いのではないのか?

「第2には、シックハウス問題などの環境問題や、地球温暖化防止の視点から一つの理想像を描く設計者も多い。」
なっとく。

「第3 : 基準法改正や品質確保法制定によって金物が多くなった事に対する反発」
これは少しひねた見方だと思うが、釘・金物を嫌う風潮は根強い。

「これまで、伝統構法を実践してきた人には、構法を改良していくことに拒否反応を示すものも少なくない。・・・・・・伝統構法を用いても、現代の要求性能に応えられるものでなければ、受け入れられない。それができなければ、民家も「民家園」にしか残らないであろう。」
同意。
伝統構法の需要というものはどれほどあるのだろうか。
関東地方の一般庶民が伝統構法で自宅を建てようということはまず考えられない。
古民家の移築は相当な費用を覚悟しなければならない。
私の発想が貧弱なのか。
日本全国どこに行っても『なんとかホーム』の家ばかりでは情けないが。

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18年前の構造系教授の思い [構造計算]

 彰国社が出した新建築学大系全50冊は大きな図書館で
見かけた人も多いだろう。

 第35巻「荷重・外力」は参考になる。

 序文とか「まえがき」はその当時の考えが表れていて興味深い。
 世相といったものまで察することができる。

 東北大教授和泉正哲氏と担当編集委員の谷資信氏のまえがきは
バブル絶頂期の建築学科の学生の傾向にもふれている。

 *********引用 抜粋************************** 
・・・・・・・・・・・・・・・
現在(1990年頃),建築学科の学生で,構造系をぜひ生涯の専門にしたいと積極
的に考えている学生は少ない(もちろん,学んでいるうちに,自分のデザイナーとし
てのセンスの悪さを自覚し,あるいはもっと近視眼的に製図力のなさを悲観し,消去法
的思考の結果,構造系へ来るものはかなりいる)。私自身,学生の頃は,やはり計画系,
構造系決定の際には迷った。破かに,デザイナーに無理難題を押しつけられなが
ら,構造上は満足のいかない建物の構造設計を行わねばならぬことや,なにか形
式的な構造計算を行い,1桁の精度しか与えられていない設計用荷重(例えば設計
用水平震度0.2)に対し,3桁の数値を書いた計算書を作成せねばならぬことに対
する嫌悪感は強かったか,一方,たとえ裏方であっても実際に建物を建てるのを
可能にしているのか構造の専門家であるという誇りと満足感が味わえるであろう
ということと,今に建築物も種々の限界にいどみ,構造計画者かデザイナーを説
得する時代がくるかもしれない・・・・・・
 学生が構造系を回避しようとするのは,もちろん,数学・力学など彼等の嫌い
な学問分野を必要とすることもあるが,彼等一流の感で,構造専門家は,もはや
従来のような安定した職能でないことを知覚しているためと思われる。確かに,
今までのような意味での構造専門家は必要としなくなるであろう。・・・・・
********************引用終わり*************************

 18年を振り返って見ると、上の文章は当たっている点もあるし、はずれの点もある。

 その後の阪神・淡路大震災や最近の耐震偽装などは未だ知らないときの文章である。

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耐力壁の剛性と基礎ばね [構造計算]

鉄筋コンクリート造の耐力壁は非常に大きな剛性(硬さ)を持っている。
地震力も大きく負担する。
以前は大きな力を負担するとすぐにひび割れが発生し剛性も低下するので、
それを見込み1/10ぐらいの数値に落として応力を算出することが常識であった。

現在ではそれは根拠のない工学的判断とされる。

杭や直接基礎のばねも根拠なく設定することは
偽装とされかねない。


構造部材の剛性低下率設定について

1)長期・短期荷重時の応力算定、短期地震力作用時の
層間変形角・剛性率・偏心率算定の際には、
構造部材の剛性は原則としてひび割れ前の弾性剛性を用いる。
ただし、各構造部材に生じる応力や変形に応じた剛性低下が
適切に評価できる場合には、これを考慮しても良い。
このとき、低下させた剛性は降伏点剛性を下回ってはならない。
2)各構造部材の剛性低下を考慮する場合には、
統一した考えに基づき設定する。
3)構造部材の剛性の評価方法が明らかでない場合には、
構造耐力上安全側となる仮定に基づき設定する。
4)Rt、Ai算定時に固有周期を精算する場合、
構造部材の剛性はひび割れ前の弾性剛性を用い、
剛性低下を考慮しない。


基礎ばねの設定についての注意事項

1)直接基礎を有するRC造建築物の場合、
長期・短期荷重時の応力算定、
短期地震力作用時の層間変形角・剛性率・偏心率算定、
保有水平耐力計算においては、原則として基礎ばねを設けない。
ただし、地盤の鉛直方向変形や基礎の浮き上がり
(地盤からの鉛直反力がなくなる状態)が
建築物に及ぼす影響が大きい場合には、
基礎ばねを設ける等してその影響を考慮しなければならない。
なお、短期荷重作用時に、部分的に基礎の浮き上がりが
生じることは許容されるが、
建築物全体として浮き上がりが生じてはならない。
2)杭基礎を有するRC造建築物の場合、
長期・短期荷重時の応力算定、
短期地震力作用時の層間変形角・剛性率・偏心率算定、
保有水平耐力計算においては、原則として基礎ばねを設けない。
ただし杭頭の鉛直方向変位が
建築物に及ぼす影響が大きい場合には、
基礎ばねを設ける等してその影響を考慮しなければならない。
なお保有水平耐力計算においては杭の引き抜き
(杭に作用する軸力が杭の引き抜き耐力となる状態)が
生じることは許容されるが、
短期荷重作用時に杭の引き抜きが生じてはならない。
3)基礎ばねを用いる場合は、それぞれ統一した考え方に基づき設定する。
4)基礎ばねの剛性の評価方法が明らかでない場合には、
構造耐力上安全側となる仮定に基づき設定する。
5)Rt、Ai算定時に固有周期を精算する場合、
基礎ばねを設定してはならない。

このような制限のもとで構造上の様々な規定をクリアすることは、
容易ではない。
数十、何百ものケースを試行し、解を見出さなければならない。


 


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建築構造ポケットブック第5版 [構造計算]

 構造屋さんの「よもやま話」(tkk3さん)も取り上げているが、私も購入した。
 ただ私が失敗したのは「机上版」でなく「ポケット版」を購入したことだ。
 遠視(老眼?)のことを考えれば当然大きい文字のものを買うべきだった。
 tkk3さんのように余裕は無く、2冊は買えない。(我慢がまん・・・)

 著者に敬意を表し、紹介して置く。

******************************

          第5版改訂の序

 第4版改訂より6年が経過した.平成18年に発覚した耐震偽装問
題を発端として、平成19年6月には改正建築基準法が本格施行とな
った.これまで購造技術者の工学的判断に委ねられていた部分の多く
が規定化され、ある意味で構造設計の厳格化が図られた.第5版では
この法改正に今回的に対応し、数多くの規定をできる限りわかりやす
く編集し、構造設計の一助となるように配慮している.
 ・・・・・中略・・・・・

 構造計算のほとんどが一貫計算ブログラムによる時代となり、入力
さえ誤らなければ一定レベルの答が出せるようになった.その反面、
計算のブラックボックス化を招き、力の流れをイメージせずとも構造
計算や構造設計が行えるようになっていることを編者らは強く危惧す
るものである、したがって、本書は、現場でひけるポケットブックと
しての役割はもとより.力の流れを手計算で追える参考書としての役
割をも強く意識した構成としている.
 ・・・・・後略・・・・・


   



 


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ピロティはル・コルビジェ [構造計算]


ピロティはル・コルビジェによって主張された。
パリ郊外にあるサヴォア邸(1931年竣工)は、
コルビジェが主張した「近代建築の5原則」を具現している。
   近代建築の5原則
     1.「ピロティ」
     2.「屋上庭園」
     3.「自由な平面」
     4.「水平に続く連続する窓」
     5.「自由な立面(ファサード)」(カーテンウォール)。

彼が基本設計した東京上野の国立西洋美術館はピロティ形式を持つ建築物である。
今、世界遺産にしようとする運動がある。

ピロティは、もともと地上階のものをさしていた。
構造設計では1階に限らない。
「建築物の低層部分の階で構面内の耐力壁が抜けることにより、
その保有水平耐力あるいは水平剛性が直上階のそれらより極端に小さい階をいう。」
・・・ピロティ階の層崩壊形式及び全体崩壊形式を許容する設計法・・・より

阪神大震災のときピロティ形式のマンションが多く倒壊した。
新耐震基準で設計された鉄筋コンクリート造建物のうち,
大破以上の被害を受けたものが十数棟あったと学会の報告にある。
構造設計上はなるべく避けるべき形式だが、
いまだに駐車場等のため需要は多い。

対象は鉄筋コンクリート造と鉄骨鉄筋コンクリート造である。
鉄骨造の場合、一般的には耐力壁が無いので問題にはならない。

どうしても設けなければならない場合は、
ピロティ階での崩壊をさせない構造とすることが一番良いが、
設計しようとしても実現出来ない多い。
柱が巨大な断面になり、柱長さとの比が足らず、短柱になってしまったりする。

そこで「ピロティ階の層崩壊形式及び全体崩壊形式を許容する設計法」という規定が出来た。
その際でもせん断破壊が生じないよう設計しなければならない。
引張側柱の全引張降伏による全体曲げ崩壊が望ましいが、
単独柱の曲げ降伏による層崩壊の場合には必要強度を割り増すことが肝心だ。
剛性率によるFsとピロティ階の強度割増係数αpのうち大きい値を用い必要保有水平耐力を割り増す。
αpは6階建て以上の建物の場合1.83であり、これはかなり大きい数字である。

また柱は最上級のランク(FA)になるよう、
せい(D)と高さ(h0)の比、圧縮応力度、引張鉄筋量、
せん断応力度などをコントロールする必要がある。

偏心は起きないよう柱、壁の配置計画を行う。

また仕様規定のようになるが、
柱の主筋は全て中子筋などで拘束することが良い。

せん断力を確実に柱や耐力壁に伝える為、
ピロティ階の上下のスラブは十分な剛性と強度を確保する必要もある。



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地震力の偽装(?) ビルディングエディタ [構造計算]

概算見積の為、
カリマンタン島の倉庫の
鉄骨断面の算出を
する必要が生じた。
旧ボルネオ島である。

X10スパン、Y2スパン
100mx50mx9.5m(軒高)

風速度35m/sec 関東と変わらない。

地震要素0.1G。日本の半分。

早速一貫構造計算ソフト「ビルディングエディタ」で入力開始。

地震力の施行令での規定は、

 Ci = Z Rt Ai  C0 
 
  Ci 建築物の地上部分の一定の高さにおける地震層せん断力係数  
 
  Z その地方における過去の地震の記録に基づく
     震害の程度及び地震活動の状況その他地震の性状に応じて
    1.0から0.7までの範囲内において国土交通大臣が定める数値  
 
  Rt 建築物の振動特性を表すものとして、
      建築物の弾性域における固有周期及び
     地盤の種類に応じて国土交通大臣が
     定める方法により算出した数値  
 
   Ai 建築物の振動特性に応じて
      地震層せん断力係数の建築物の高さ方向の
     分布を表すものとして国土交通大臣が定める
     方法により算出した数値  
 
   C0 標準せん断力係数

BEの地震力入力画面



 普通に考えればC0を半分にすれば良いと考える。


なるほど簡単には変更できない。BEも日本専用だな。

では地域係数を0.5に



 困ったなー。一貫ソフトではカリマンタン島は計算できないか?

 そこでCiの直接入力




やっと出来た。

計算実行してみると「警告」が出る。
「警告 Ciを直接入力しています。」

なるほど。

苦労しても
屋根が鉄板の平屋倉庫では風圧力が大きく
地震力は問題とならないのだが。


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4号建築物の構造計算書 [構造計算]

財団法人建築行政情報センター(ICBA)
改正建築基準法に係る質疑・応答
No.331
建築士が設計した4号建物の構造計算書は不要
構造仕様規定免除を受けるために行った構造計算書は、
確認申請時に提出する必要があるか?
また安全証明書は出す必要があるか?
と言う質問に対して
まったくありませんと念押しの回答をしている。

解読した質疑回答
赤字部分は私が加筆した。

*********************************************

質問331

[確認・検査・適合性判定の運用等に関ずる質疑No65]によれば、

法第6条第1項第4号に    小規模な木造など

掲げる建築物で建築士が設計した場合の

構造関係規定に係る審査省略制度について、仕様規定は

令第10条の        建築物の建築に関する確認の特例
確認の特例の対象として審査が省略され、
構造計算規定は審査対象になるとのことだが、
令第3章第1節から第7節の2までの      構造関係の仕様規定
構造方法規定の一部として、

ただし書き等に基づいて構造計算を行う場合
(令第38条第4項に基づく構造計算や、
             異種基礎併用の禁止などを除外する計算など
令第46条第2項ハに基づく構造計算など)   筋違いを除外する計算など
の扱いはどうなるのか。
また、それらの構造計算について、
建築士法第20条第2項の
1級建築士、2級建築士又は木造建築士は、
構造計算によって建築物の安全性を確かめた場合においては、
遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、
その旨の証明書を設計の委託者に交付しなければならない。
安全証明書の扱いはどうなるのか。

回答
ご質問のような構造計算の規定は、
その内容として
令第3章第8節の構造計算規定の
一部を準用している場合を含め、
令第3章第1節から第7節の2までの構造方法規定(仕様規定)の一部であり、
審査省略の対象です。
従って、例えば、
令第384項の規定に適合することの確認のため、  基礎関係
H12建告第1347号第2の規定に      建築物の基礎の構造計算の基準
基づく構造計算として
令第82条第一号から第三号の
  
保有水平耐力計算のうち長期・短期の許容応力度計算部分
構造計算を行った場合、
その構造計算書は、
施行規則第1条の33の    国土交通大臣が定める様式による構造計算概要書
構造計算書ではなく、
同条表2
「令第38条第4項の規定に       基礎関係規定の除外のための計算
適合することの確認に必要な構造計算の結果及びその算出方法を明示した図書」という
位置づけとなり、
確認申晴時に添付する必要はありません。
また、ご質間のような構造方法規定の一部として規定されている構造計算を
行った場合については、
安全証明書の写しを確認申請時に添付する必要もありません。
*******************************


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完全にフリーソフト化!!! [構造計算]

一貫ソフト「ビルディングエディター5.1」(BE)
完全にフリーソフト化!!!

土日(15、16日)外出したり、
PCを更新していたので気付かなかった。

驚いた。
2007年12月14日に発表されたようだ。
今までは2008年3月末までは使用無料という発表だった。
確認申請の混乱が続いている事を踏まえ、
(株)ストラクチャーが永久にフリーソフトとすると決めた。

英断である。拍手喝采!

これでBEが日本の建築構造界のスタンダードの
ひとつになる可能性が極めて高い。
私の認識では構造ソフトの「BUILD一貫」、構造システムの「BUS」、
ユニオンシステムの「SS2」の3ソフトで大半のシェアを占めていた。

日本の建築界にはJW-CADと言う有名なフリーCADソフトがある。
構造計算界におけるJW-CADが出現する。
多くのサポート、なにより使用実績が増え、色々なケースでの問題点が、
明らかになり、解決されていく事が必要。

構造屋さんの中に「これまでに購入した高いソフトが無駄になる。」と
心配している人がいるがJW-CADを見れば判る様に、
BEだけになり、他のソフトが絶滅するようことは無い。


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超高層マンションの構造 [構造計算]

 

高層RC造の構造計画と解析法 講習会
2007年11月19目
東京国際フォーラム
G409会議室
 
東京有楽町の国際フォーラムで開かれた
鉄筋コンクリート造の超高層についての
講習会に出席した。
100名程の聴講者
大手ゼネコンや大手構造事務所の構造屋さんだろうか。

最近は毎年50棟の超高層マンションが建てられていると言う。
全てが鉄筋コンクリート造。
その中に千葉市川のマンションも含まれている。
免震や制振装置を付けたものが多いとのこと。

1.『超高層鉄筋コンクリート造建築の発展』
 東京大学 名誉教授 青山博之
2. 『免震・制振装置を用いた超高層鉄筋コンクリート造建築の事状』
 首都大学東京 名誉教授 西川孝夫
 3.『超高層鉄筋コンクリート造の構工法および実例』
 戸田建設株式会社 構造設計部/工学博士  和泉信之
 4.『弾塑性動的解析プログラムSNAPの機能紹介・開発コンセプト』
 株式会社構造システム  川邊祥一 /長尾真奈

 戸田の和泉氏の話が施工実例を含めたもので興味深かった。


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講習会行って来ました [構造計算]


 今日2007年11月5日
「改正建築基準法による 構造計算書作成の要点と事例」講習会
に行って来ました。
またビッグサイトでした。
講師の一人が以前、一緒に仕事をした人なので驚いた。

参加人数700人ぐらいだったか。
座席指定で前の方から詰めさせられた。
窮屈だった。

予想に反し実務的で有意義だった。


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