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18年前の構造系教授の思い [構造計算]

 彰国社が出した新建築学大系全50冊は大きな図書館で
見かけた人も多いだろう。

 第35巻「荷重・外力」は参考になる。

 序文とか「まえがき」はその当時の考えが表れていて興味深い。
 世相といったものまで察することができる。

 東北大教授和泉正哲氏と担当編集委員の谷資信氏のまえがきは
バブル絶頂期の建築学科の学生の傾向にもふれている。

 *********引用 抜粋************************** 
・・・・・・・・・・・・・・・
現在(1990年頃),建築学科の学生で,構造系をぜひ生涯の専門にしたいと積極
的に考えている学生は少ない(もちろん,学んでいるうちに,自分のデザイナーとし
てのセンスの悪さを自覚し,あるいはもっと近視眼的に製図力のなさを悲観し,消去法
的思考の結果,構造系へ来るものはかなりいる)。私自身,学生の頃は,やはり計画系,
構造系決定の際には迷った。破かに,デザイナーに無理難題を押しつけられなが
ら,構造上は満足のいかない建物の構造設計を行わねばならぬことや,なにか形
式的な構造計算を行い,1桁の精度しか与えられていない設計用荷重(例えば設計
用水平震度0.2)に対し,3桁の数値を書いた計算書を作成せねばならぬことに対
する嫌悪感は強かったか,一方,たとえ裏方であっても実際に建物を建てるのを
可能にしているのか構造の専門家であるという誇りと満足感が味わえるであろう
ということと,今に建築物も種々の限界にいどみ,構造計画者かデザイナーを説
得する時代がくるかもしれない・・・・・・
 学生が構造系を回避しようとするのは,もちろん,数学・力学など彼等の嫌い
な学問分野を必要とすることもあるが,彼等一流の感で,構造専門家は,もはや
従来のような安定した職能でないことを知覚しているためと思われる。確かに,
今までのような意味での構造専門家は必要としなくなるであろう。・・・・・
********************引用終わり*************************

 18年を振り返って見ると、上の文章は当たっている点もあるし、はずれの点もある。

 その後の阪神・淡路大震災や最近の耐震偽装などは未だ知らないときの文章である。

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