"「悲」劇的ビミョーアフター” [住宅]
朝日新聞火曜日の朝刊に「わが家のミカタ」という特集が載る。
良く調査されていて参考となる記事だと思う。
2007年9月18日にリホームに関する特集記事が載った。
サブタイトルの"「悲」劇的ビミョーアフター”は笑ってしまう。
あるテレビ番組を皮肉っている。知っている人も多いだろう。
あの番組のセンセーショナルな扱いは如何なものかと思っていた。
好きでは無く、あまり見たことが無い。
先週の主なテーマについて検証しよう。
(1)500万円未満のリホームは誰でも出来る。
リホームに限らず500万円未満の工事は誰でも出来る。
これは個人で仕事を続けてきた職人さん・親方などを
保護する建設業法の規定だと思う。
(2)2階建て100平米以下は誰でも設計できる。
これも個人住宅を大工さんが長い間建ててきた実績を
尊重した建築士法の規定。
(3)新築以外は10年保証が無い。
これは住宅品質確保法のことを言っているのだろう。
確かに「品確法」は新築を対象にしている。
民法第638条に木造建物の請負人は5年の瑕疵担保を負うとの趣旨がある。
これも改修工事の事では無い様だ。
リホームは引渡し後1年の瑕疵担保期間と考えるのが一般的なようだ。
増築部分などは建築に当たるので5年。
ただし個別の契約書に期限の記載があればそれが優先する。
今週2007年9月25日(火)の記事はおとなしい内容だ。
要は「安物買いの銭失い」を戒めた内容だ。
木造外壁150平米の塗り替えで
(1)アクリル系 60万円
(2)ウレタン系 70万円
(3)シリコンセラミックス系 85万円
どれを選ぶことが正解か?
少しの値段の差ならば15年も持つ(3)を選ぶことが
正解と言う主張。
なるほどとも思うが本当に正解か。
取り巻く事情にによって回答は異なっても良いと私は思う。
-----------参考------------------
〔建設業法〕 第 3 条
【建設業の許可】
第3条 建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、
この章で定めるところにより、2以上の都道府県の区域内に
営業所(本店又は支店若しくは政令①で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)
を設けて営業をしようとする場合にあっては国土交通大臣の、
1の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあっては
当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
ただし、政令②で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、
この限りでない。
〔建設業法施行令〕
第 1 条の 2
【法第3条第1項ただし書の軽微な建設工事】
第1条の2 法第3条第1項ただし書の政令で定める軽微な建設工事は、
工事1件の請負代金の額が建築1式工事にあっては1,500万円に満たない工事
又は延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事、
建築1式工事以外の建設工事にあっては500万円に満たない工事とする。
〔住宅の品質確保の促進等に関する法律〕 第 94 条
【住宅の新築工事の請負人の瑕疵担保責任の特例】
住宅を新築する建設工事の請負契約(以下「住宅新築請負契約」という。)
においては、請負人は、注文者に引き渡した時から10年間、
住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として
政令で定めるもの(次条において「住宅の構造耐力上主要な部分等」という。)
の瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。次条において同じ。)
について、民法第634条第1項及び第2項前段に規定する担保の責任を負う。
福田内閣が出来た。ほとんどの閣僚は留任。
麻生氏は入閣を固辞。意外とも思ったが「次を考えると言う手」もあるなと思った。
今朝早く雨が降った。日中はかなり蒸し暑かった。
今午後10時半、かなり涼しい。
私のかなり固いブログでも見てくれている方がいることに感謝。
日本の住宅は高いのか [住宅]
日本の住宅は高いのか
1.建設省の回答
かなり古い内容だが1998年に建設省が答えている。
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Q: 日本の住宅はどうして高いのですか。
A: 日本の住宅は高いと言われていますが,どのくらい高いのでしょうか?
同じ大きさ、同じ作り方をしたアメリカの住宅と比較すると、
1997年で1.46倍くらい高いとの調査結果が出ています。
日本の住宅が高いのは、
(1)注文住宅が多いこと
(2)住宅の生産性が低いこと
(3)地震、火災等がおきても安全なように、法律による規制が必要なこと
(4)流通が複雑であること
などが原因であると言われています。
建設省では、平成12年度(2000年度)までに、
標準的な住宅の値段を平成4年度の2/3以下にすることを目標に,
いろいろな対策をとっています。
(1998/12/02 住宅局 住宅生産課)
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注文住宅が悪いとなればプレファブメーカーは大喜びの指摘だが。
また建売ならば良いのかということも考えられるが。
住宅の生産性が低いと言うのは職人さんの働きが悪いというのか?
耐震・防火の規制がきついとは建設省が言っているとは思えない。
流通が複雑と言うのはどの業界でも言われている事で実際どうしたら良いのか。
いろいろな対策を講じてくれたそうだが成果は出ているのかまったく判らない。
2.建売住宅が少ない
大学の先生は次のように考えている。
***** 引用開始 *****************
日本の住宅はなぜ高いのか
東京大学教授 金本良嗣 氏
ー前半大部分省略 土地の供給の問題、農地の問題、相続税の問題などー
建物部分の建設コストが高いことも宅地開発の問題に連動している.
アメリカにおける一戸建て住宅の建設費用は日本の約半分である.
これが可能になっているのは,アメリカでの住宅建設の大部分は
数戸から数十戸をまとめて建てる建売住宅であるからである.
ある程度の戸数を一度に建設すると,職人の時間管理が格段に
効率的になったり,資材の調達費用が大きく節約できる.
日本のように一戸だけの注文住宅を建てようとすると,
アメリカでも非常にコストが高く,中堅所得層には手が届かない.
日本ではそのような贅沢な建て方をしているので,
建設コストが高くなっても当然である.
効率性の高い建売住宅が日本で少ない理由は,
まとまった規模の宅地開発を行うことが相対的に
不利になっていることである.
大規模開発になればなるほど,市町村による開発負担金や
開発規制が強化される傾向がある.
また,地主がまとまった土地を一時に売却することは,
税制上非常に不利になるので,少しずつ売却されることが多い.
ーーーーー 以下も大幅に省略 引用終わり ーーーーー
すぐに反発を感じてしまう。
10戸程度纏まった建売住宅は安く出来るか?ある程度出来そうだが、
10戸、100戸などのマンションなどは考えてみれば、
内装や設備機器などはまとめ買いをしているのと同じだが
大幅にその分安くなっているとは思えない。
3.耐用年数・中古・リホームなど
-----------あるリホーム会社のHPからの引用------------------------------
中古住宅市場規模の各国比較
日本 アメリカ イギリス ドイツ フランス
中古住宅流通量/全住宅取引量 12% 77% 89% - 71%
新築住宅着工戸数/全ストック 2.3% 1.4% 0.8% 0.6% 1%
欧米では市場で売買されている住宅戸数の7~8割が中古住宅であるのに対し、
日本で売買されている中古住宅はたった1割。対して新築着工戸数割合は欧米の倍。
つまり売買されているのはほとんど新築だということです。
-------------------------引用終わり-------------------------------------
データの根拠が示されていなかったが他の記事を調べても同じような事だったから
大きな傾向としては間違いない。
日本の住宅の耐用年数が短すぎる。
100年住宅の提唱もあったが未だ実現しているとは思えない。
これが日本の住宅の価格を押し上げている理由のひとつだと思う。
だが実際30年たった家は使いづらい。
知人の30年たった住宅を考えると建替えもやむを得ないと感じてしまう。
30年前経済的にも余裕が無く、30坪の敷地に延べ面積25坪の在来木軸工法で建てた。
いろんなところにガタが来ている。
家族構成も変わった。
今の建物を売りに出しても建物の価値はゼロで、土地代しかない。
少し広いところに移ることも可能だが金が掛かる。
今の土地に愛着もあるし、近所のしがらみもある。
建替えることが一番の選択となる。
こうして日本の住宅は30年で解体されてしまい、建替えとなる。
既存木軸組住宅の耐震補強の問題と一緒に価値ある「リーホム」が大事だと思う。
彼岸に入っているのに今日は日本中で30度を越えそうだ。
ローコスト住宅の大宣伝 [住宅]
ローコスト住宅会社の大宣伝
幾つかの会社名が知られる様になってきた。
名前を聞いた事がある程度の会社もあれば、
テレビで有名キャスターを使ったCMを毎日やっている会社もある。
大宣伝をしている住宅会社と言うのはどうなんだろう。
売り上げの1割2割を掛けて全国規模でCMを流す。
しかも中小工務店にでは太刀打ち出来ない低い価格設定で大宣伝を繰り広げる。
現在は大手ハウスメーカーはそれなりに高級志向なので中小工務店も住み分けが出来る。
ローコスト住宅会社と中小工務店は一般的には敵対関係だろう。
しかし実際はローコスト住宅会社の施工は地元中小工務店が引き受けている。
木工事の手間請けや設備の取付け工事など。
じかに受注した場合の3割4割低い施工費だろう。(根拠は無いが)
全国の中小工務店が連携し対抗出来ないだろうか。
規格仕様を纏め、ある程度の広告も行う。
県単位などでは既に行われているが目立たない。
大宣伝で無駄な金を使うことはないが。
住宅設計の建築士はそれに協力出来ないだろうか。
既に色々な取り組みをしているはず。
ローコストを実現するためには“大量仕入れ・規格化”が必要だ。
これはなかなか難しい。
住宅設計者は個性・意地のかたまりで他人と同じことはしたくない。
(流行にも乗り遅れたくない)
自由主義市場経済原理で少しでも儲かるところに人も金も集まる。
ボランティアでは大きな流れを作り出すことは難しい。
暫らくローコスト住宅会社の様子を見るしかないのかも知れないが、
そうしているうちに中小工務店はローコスト住宅会社の下請化が進んでしまう。
明日からまた30度を超える夏が戻ってくるらしい。