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あと施工アンカーの正当性 [耐震設計]

あと施工アンカー

10月17日のブログに書いたが
あと施工アンカーの建築基準法上の
扱いが曖昧である。
この際徹底的に調べた。

1.概要
あと施工アンカーは法37条に示す指定建築材料として
位置付けられていないので、
建築物の基礎や主要構造部に原則的には使用できない
(それ以外の構造部材(小梁、間柱)、
非構造材(内装剤、外装材、間仕切り、手すり等)の
建築材料としては、法37条の規制を受けることなく、使用できる。)


耐震偽装事件以降、
既存の補強が普遍的に必要と感じた国交省は告示を改定した。
平成18年に告示1024号の一部が改正されて、
あと施工アンカーの号が追加された。

告示1024号 
第1  特殊な許容応力度
十四  あと施工アンカー(既存の鉄筋コンクリート造等の部材と
これを補強するための部材との接合に用いるものをいう。第2第十三号において同じ。)
の接合部の引張り及びせん断の許容応力度は、
その品質に応じてそれぞれ国土交通大臣が指定した数値とする。
 第2 特殊な材料強度
十三  あと施工アンカーの接合部の引張り及びせん断の材料強度は、
その品質に応じてそれぞれ国土交通大臣が指定した数値とする。

この告示によってあと施工アンカーが
既存を補強する目的のみに使用することが「認知」された。

この告示において国交省は許容応力度、材料強度を指定してはいない。
「その品質に応じてそれぞれ指定する数値」という意味は
各メーカー、またはその団体が申請し、それを認定する言うことだ。
あと施工アンカー協会がH18年5月に申請し、
同月国交省より「指定書」を受領している。
指定書↓
http://www.decoluxe.co.jp/topics_a/shiteisho.pdf

そこに許容応力度、材料強度が書かれている。
ただし、まだ接着系(ケミカル系)のみ申請であり、
長期許容引張力や長期許容せん断力については、規定されていない。

計算例が
「あと施工アンカー・連続繊維補強設計・施工指針」
平成18年5月 4-1頁にある。
WEBで検索可能で全文入手できる。

よってH18年5月以降”あと施工アンカー協会”加入のメーカーの
ケミカル系アンカーによって施工された物は
国交省によって「正当性」が与えられている。

しかしまた疑問が湧く。
それ以前に耐震補強工事をされた建物、
またそれ以外のメーカー、ケミカル系以外は
”既存不適格建築物”なのか???!!!

******  以降よほど興味ある場合以外読む必要は無い *******
******  私自身の備忘録である。 ********

2.〔建築基準法〕第 37 条
【建築材料の品質】
第37条  建築物の基礎、主要構造部その他安全上、防火上又は衛生上重要である政令で定める部分に使用する木材、鋼材、コンクリートその他の建築材料として国土交通大臣が定めるもの(以下この条において「指定建築材料」という。)は、次の各号の一に該当するものでなければならない。
一  その品質が、指定建築材料ごとに国土交通大臣の指定する日本工業規格又は日本農林規格に適合するもの
二  前号に掲げるもののほか、指定建築材料ごとに国土交通大臣が定める安全上、防火上又は衛生上必要な品質に関する技術的基準に適合するものであることについて国土交通大臣の認定を受けたもの

3.用語の定義
(1)主要構造部
法第2条 五  主要構造部   壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。

(2)構造耐力上主要な部分
令第1条 三  構造耐力上主要な部分  基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の振動若しくは衝撃を支えるものをいう。

(3)安全上、防火上又は衛生上重要である建築物の部分
第144条の3  法第37条の規定により政令で定める安全上、防火上又は衛生上重要である建築物の部分は、次に掲げるものとする。
一  構造耐力上主要な部分で基礎及び主要構造部以外のもの
二  耐火構造、準耐火構造又は防火構造の構造部分で主要構造部以外のもの
三  第109条に定める防火設備又はこれらの部分
四  建築物の内装又は外装の部分で安全上又は防火上重要であるものとして国土交通大臣が定めるもの
五  主要構造部以外の間仕切壁、揚げ床、最下階の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段、バルコニーその他これらに類する部分で防火上重要であるものとして国土交通大臣が定めるもの
六  建築設備又はその部分(消防法第21条の2第1項に規定する検定対象機械器具等及び同法第21条の16の2に規定する自主表示対象機械器具等、ガス事業法第2条第13項に規定するガス工作物及び同法第39条の2第1項に規定するガス用品、電気用品安全法(昭和36年法律第234号)第2条第1項に規定する電気用品、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適性化に関する法律第2条第7項に規定する液化石油ガス器具等並びに安全上、防火上又は衛生上支障がないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)

(以上)


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